さてこれから列車に乗って、ホスタイ国立公園へ向かいます。
出発前、ホーム停車中の列車の風景。

プラットホームから見た、ウランバートル駅の駅舎。
ウランバートル駅はウランバートル鉄道が運営する鉄道の駅。
路線として、ロシア～モンゴル～中国を結ぶ、国際鉄道のモンゴル縦貫鉄道が延びている。

ウランバートル駅を出発、ダワーニー駅を目指します。
列車は北にある、ロシア国境のスクバートル駅行き。
ディーゼル機関車が引っ張る客車です。

駅を出発した列車は西に広がる広大な操車場、トレイン・ヤードの脇を通る。
ウランバートル鉄道は非電化のディーゼルで、かつ単線。
運行も自動制御では無く、人手によるため、数多くの列車を運行させられない。

長距離列車で、寝台が付いている列車内の風景。
全席指定にも関わらず、大量の荷物を持った家族たちは、人の席まで平気で陣取る。
中国の列車でもそうだったが、早い者勝ちの文化がはびこっている様だ。

最初に停車した駅はトルゲティ駅。
小さいが緑のペンキに塗られた、カラフルな駅舎だ。
プラットホームには屋根は無い。

この辺りから列車は上りに入る。
余り速度は出ない。
車窓から、高原を走る列車の風景。

列車はエミールト駅に到着した。
モンゴルでは高速道路を含め、道路網が余り整備されておらず、人も荷物も専ら鉄道に頼っている。
しかし建設されたのは社会主義時代で、老朽化が進んで来た上に整備は遅れており、遅延や運休が度々発生し、運行に支障をきたしてしまっている。

エミールト駅を出発です。
ウランバートル鉄道はメインのモンゴル縦貫鉄道以外に、シベリア鉄道の支線となっている、東部貨物線がモンゴルの東部を走っている。
モンゴル国内では、貨物列車に客車を連結した混成列車として人も運んでいるが、モンゴル縦貫鉄道には直接つながっていない。

そろそろ、目的のダワーニー駅が近付いて来ました。
ウランバートル駅から1時間少しの列車の旅でした。
鉄道の旅は風情があって、とても好き。

ダワーニー駅に到着。
さて降りますかと、デッキに出ると、何とプラットホームが無い。
列車が長すぎて、ホームからはみ出していた。
出発する列車を見送る、旅の仲間たち。

ダワーニー駅の駅舎の風景。
ホスタイ国立公園への最寄り駅にしては、とっても簡素な、取り立てて特徴的な駅では無かった。

走り去る列車。
列車を下り、しばらく駅構内を散策。
単線のウランバートル鉄道の駅にしては、ここは行き違いや通過ができる、比較的大きなヤードを持つ駅だ。

ダワニー駅からバスに乗り、ホスタイ国立公園へ。
ここは国立公園入口のゲート。
ホスタイ国立公園は、野生馬タヒが生息する自然保護区として知られる。

ここはホスタイ国立公園のツーリストキャンプ。
食事やゲルでの宿泊ができる。
ビジターには施設で、ホスタイ国立公園やタヒに関する、展示や資料を見る事ができる。

ツーリストキャンプ周辺では、ヒツジやヤギの遊牧が行われていた。
ここから野生馬タヒが生息する、国立公園の奥地まで四駆の自動車に乗り換えて向かいます。

野生馬タヒが丘陵地帯の草原にいた。
タヒは飼育されている訳では無く、野生動物。
広大な国立公園の、どこにいるのか判らない。
四駆のドライバーさんが、他の車と情報を交換しながらタヒを見つける。

タヒは家畜化されたウマとは別種のノウマで、モウコノウマと呼ばれる種。
かつてはユーラシア大陸の草原に多数生息していたが、一度絶滅した。
タヒの特徴としては、比較的小柄で、口先、鼻の付け根が白いなど、外見がロバに似ている。

まだちっちゃなタヒの仔馬。

モウコノウマは肉や革を目的に乱獲され、１９６０年代に絶滅した。
モウコノウマは各国の動物園、特にヨーロッパの動物園で少数が飼育されており、純血種の子孫が生き残っていた。
モンゴルでは、そのモウコノウマを輸入、繁殖を行った。

ホスタイ国立公園で元気に生きる、野生馬タヒの親子。

繁殖に成功したタヒを、ホスタイ国立公園をはじめ、各保護地区で自然の下に戻し、今では国内で数百頭にまで回復して来ている。

草原に小さな生き物がいた。
リスの仲間のマーモットだ。
巣穴で暮らし、冬は冬眠する。
春になって元気に動き回っていた。

マーモットはヨーロッパや北米の山岳地帯に生息するが、モンゴルでは草原に暮らす。
特にこの種をシベリアマーモットと呼ばれ、モンゴルではタルバガンの名が付く。
毛皮を目的に乱獲され、数は激減している。

人に気付いたのか、尻に帆掛けて逃げ去るマーモット。
ホスタイ国立公園では、可愛い小動物達もよく見かける。
マーモットなどの小動物は、肉食獣などの格好の獲物となる。

近くの草地で咲いていたオキナグサ。
春の訪れを知らせる山草。
とても可憐な花だが、毒を持つ。
しかし根は漢方薬となり、下痢止めに用いられる。