ここはグァテマラ西部高原、アティトラン湖の北にあるキチェ県のチチカスティナンゴ。
先住民族のマヤ人に属するキチェ族が多く暮らす町。

食堂ではトルティーヤを焼いていた。
トルティーヤはトウモロコシの粉で作った薄焼きのパン。
メキシコが有名ですが、中米各国でも食べられている。
このトルティーヤは、少し黒っぽかったが、トウモロコシの種類によって白、黒、黄のトルティーヤがある。

今日は木曜日。
最もこの町がにぎわう日です。
それはインディオの人々が沢山集まる木曜市が開かれるから。

スペインによる支配を受けてきたにもかかわらず、それに影響されることなく、グァテマラ各地には今も昔も変わらない生活をしている人々がたくさん残る。
チチカスティナンゴもそんな人々が暮らす町の一つ。

キチェ族の文化が色濃く残っていて、マヤ伝統文化の中心地として知られる町、チチカスティナンゴ。
スペイン征服前はチャビアールの地名だった。
チチカスティナンゴのティナンゴとは土地と言う意味で、グァテマラには○○ティナンゴと言う地名が沢山ある。

スペインによりこの地に移送されたメキシコの先住民族が、この地にたくさん生えていた薬草イラクサの事を自身の言葉でチチカスと呼んだ。
チチカスティナンゴの名はチチカスと言う草がたくさん生える土地の意味となる。

とにかくカラフルだ。
女性たちの着ている色鮮やかな、マヤ伝統の民族衣装。
マヤ、特にキチェ族の伝統的文化として残る手織の織物だ。

花を売っている一家。
グァテマラ各地に残るマヤのインディオ達は、スペイン支配の影響を受ける事無く、自らの伝統をしっかり守り、自分たちの独自性、アイデンティティを強く持っている。
織物などの工芸品や色とりどりの花、果物などが所狭しと並んでいて、色彩豊かなとても美しい眺めである。

チチカスティナンゴの町のシンボル、サント･トマス教会。
町の聖人トマスをまつっている。
ここは古代マヤの神話、ポポル・ブフが発見された教会としても知られる。

サント･トマス教会前の石段。

発見されたポポル・ブフは、マヤ文字で書かれていた原文ではない。
スペイン統治時代に写し取られたもの。
原書は残っていない。
神聖なるマヤの神話が発見されたサント･トマス教会は、マヤの人たちには聖地となっている。

ガルバリオ教会やサント･トマス教会の階段近くでお香を焚く人たちがいた。
これはコパルと呼ばれるマヤの儀式で用いられる香の事。

サント･トマス教会前から続く市場の風景。
日用雑貨や穀物などの食料品、民芸品に至るまで様々な物が売られている。

木曜市に来ていたマヤの末裔の親子。
伝統文化も住んでいる村ごとに少しずつ異なり、それぞれ特徴のある民族衣装に身を包んでいる。

市場の外れにあったガルバリオ教会。
サント･トマス教会と同様に、この地にはスペイン征服前はマヤの神殿が建っていた。
神殿を破壊したスペインが跡地にキリスト教会を建てた。

基礎部分はマヤの神殿跡をそのまま使っており、石段もマヤ時代のもの。
人々は思い思いに教会前の階段で休み、また礼拝のために上っていく。